■■ 経営者のためのIT用語集 ■■
(基礎編/ABC順)

■ABC/ABM(Activity Based Costing / Management)
活動基準原価計算/活動基準原価管理。顧客が受け取る価値と、そこから得られる利益の双方を継続的に改善するための手段として考えられた。活用されたリソースを事業プロセスに関する「アクティビティ(活動)」に割り当て、アクティビティの活用に応じて「コスト・オブジェクト(製品や顧客など)」に付加し管理する。

■APICS(The American Production and Inventory Control Society)
米国生産在庫管理協会。1957年に設立され7万人の会員を擁する統合資源管理(TRM)領域の教育組織。各種の調査研究活動のほか、標準化活動に取り組みCPIM(公認・生産在庫管理士)ほかの専門資格制度を設けている。  <http://www.apics.org>

■APS(Advanced Planning and Scheduling)
企業の計画系機能充実のために最近広まってきた考え方と製品群。基本的には商品の製造や販売のサプライ・チェーンを意識して企業活動の計画立案(およびその変更)をダイナミックかつ迅速に実施しようとする。SCP(サプライ・チェーン・プランニング)とほぼ同意義で使用されることが多い。

■ASP(Application Service Provider)
インターネットなどのネットワークを経由して業務ソフトなどのサービスを提供する事業者のこと。ユーザ側はソフトやハードなどを購入しなくてもインターネットにアクセスできる端末さえあれば業務ソフトを使用できるため、安価にIT化できるサービス形態として最近は脚光を浴びている。

■バランス・スコアカード/BSC(Balance Score Card)
ロバート・キャプランとデビッド・ノートンが提唱(1992年)。TQCの方針展開に似た経営プロセスであり、厳選された重要業績評価指標間の因果関係を明確にし、経営者自らが情報技術(IT)を駆使してPDCAサイクルを回す、戦略的経営のための業績評価手法である。「財務的視点」「顧客の視点」「社内ビジネスプロセスの視点」「学習と成長の視点」の4つの視点から構成され、株主・顧客・従業員等の利害関係者間のバランスを維持しながら、企業変革を推進することができる。

■ベンチマーキング
業種・業界・国籍にこだわらずに優れた業績を上げている企業との比較・分析から自社の問題点を明確にして経営革新を実現する方法。

■BPR(Business Process Re-engineering)
マイケル・ハマーの著書(1993年)で提唱された考え方。競争社会において戦略的なコスト優位性と収益性を獲得できるかどうかが生き残るための能力となる。そのためにはビジネスプロセスの変革が重要であり、情報技術(IT)を積極的に採り入れトップダウンで改革を断行することが重要とされている。

■ビッグバン・アプローチ(Big Bang Approach)
ERPパッケージの全機能を全社で同時にカットオーバしようとするアプローチ。成功できれば効果が最も大きくかつ短期間で可能となるが、全社的なコンセンサスの獲得などの準備に必要なリードタイムが長く、また問題が集中的に発生するなどプロジェクト・メンバーの資質に大きく依存するためリスクも大きい。

■クライアント・サーバ・システム/CSS(Client Server System)
複数のコンピュータに役割を分散し連携することにより大型コンピュータが1台でやっていた処理をより安価に実現するための仕組み。システムの中心となるコンピュータ(サーバ)と端末と呼ばれるコンピュータ(クライアント)を複数台つなげて処理する技術

■CALS(Commerce At Light Speed)
読んで字のごとく「光のスピードでの商取引」つまり「電子商取引」をいう。EDI(Electronic Data Interchange)やEC(Electronic Commerce)を含んでいう場合もある。一時脚光を浴びたが、今では「e-ビジネス」の中に含まれ、企業間(B-to-B)や企業と個人間(B-to-C)の商取引に活用される。

■カストマイズ(Customize)
ERPパッケージなどの既成品の業務ソフトを顧客の要件ニーズに合わせるための変更をいう。通常は、設定パラメータなどを定義することにより実施される。当該製品の機能に無い場合の追加開発(アドオン)を含んでカストマイズという場合もある。

■コア・コンピテンス(Core Competence)
企業が自社と他社を差別化できる中心的な競争能力をいう。スピード(Agility)、顧客との関係(Relationship)そして独自性(Originality)がキーワード。ERPの導入は、このコア・コンピテンスの強化・向上を支援するツールとなる。

■コーポレート・ガバナンス(企業統治)
会社の経営責任を株主からの受託責任と捉え、その遂行体制を問うものである。株主の監督是正権や組織内部のチェックの仕組み、ビジネスリスクのマネジメント体制、さらには経営意思決定の仕組みなどが議論される。資本の効率的運用、成長性と収益性を追及する企業において、責任と権限の分担と付加価値の適正配分を図ることが究極的な課題となる。

■コンピテンシー・モデル
高業績者が成果を上げるために発揮するリーダーシップなど、その構成要素である個々のビヘイビア(行動/思考特性)としてのコンピテンシーを抽出して、企業が職種別や等級別に理想として掲げる人材像(モデル)を明確にしたものをいう。この設計は、社内の高業績者が企業の戦略に合致したコンピテンシーを発揮している"求める人材像"であるという仮説を前提として、各職種、各等級の高業績者が現在発揮しているコンピテンシーを把握することを中心に行われる。社員のコンピテンシーを常時把握することを通じて、採用や配置、育成といった全ての人事ファンクションの中核として活用することが可能である。

■CRM(Customer Relationship Management)
顧客満足度と企業収益の向上を図るための概念。企業にとって優先顧客を選別するためのツールといっても良い。ITを有効活用して顧客データや顧客との接点を効率的に活用しより的確に適正な販売チャネルで商品を顧客へ提供しようとする手法でもある。

■データ・ウエアハウス(Data Warehouse)
ビル・インモンが提唱(1990年)。経営管理から顧客満足度向上まで、業務遂行や意志決定に必要なデータを一元管理し、必要に応じて取り出しやすくする、と同時に多方面からの分析調査が可能となるような保存形態がとられる。国内では、同意義で「大福帳型データベース」も使用される。

■データ・マイニング(Data Mining)
膨大な生データから経営上必要な傾向、関係、特徴などを分析・抽出する技術。データ・ウエアハウスから的確な情報を得、判断するために、仮説を立て各種の分析・統計手法を活用しながら分析をすすめていく。特に、経営やマーケティングへの適用が有効となる。

■エンドユーザ・コンピューティング/EUC(End User Computing)
パソコン(PC)等を使用して、業務担当者自身がデータを加工・作表・分析等をすることをいう。代表的なツールとしては表計算ソフトのエクセルがある。最近では、収集されたデータを加工・分析するツールをOLAP(On-Line Analytical Process)ツールといいその目的別に多くのツールが販売されている。

■EAI(Enterprise Application Integration)
もともとは企業内における業務システム間のデータ連携のために開発されたソフトの総称。ビジネス環境の変化にともない昨今では非常に大きな伸びが期待されている市場である。最近では企業間を含む情報連携を目指すツールとして「eAI」と表現することもある。

■ERP(Enterprise Resource Planning)
企業全体を経営資源の有効活用の観点から総合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念。日常業務で発生するデータの収集・一元管理により、その活用を可能にする。基本的には、基幹業務全般の情報インフラを整備し、各部門がそれを共有することにより、各種の意志決定や経営判断を迅速にできるようにする。

■ERPパッケージ(ERP Package)
統合業務ソフトと同意。ERP概念の実現を支援し、企業のコア・アプリケーション(バックボーンともいう)として位置づけられる主要業務(会計・物流・生産など)を包括したパッケージとなっている。グローバル対応、統合型業務システム、計画・管理系の充実、最新情報技術の活用が主なキーワード。

■ギャップ分析(Gap Analysis)
ERPパッケージの導入で、パッケージの持つ機能とユーザが要求する機能の差をギャップという。このギャップを小さくすることがERPパッケージの成功導入には重要。安易な機能拡張は、開発工数の増加のみならず、パッケージ活用のメリットを減少させ、バージョンアップ(機能拡張版の導入)への対応を困難にする。

■グループウエア(Groupware)
ネットワークで接続された複数の組織や人々(グループ)が、共同作業を効率的に行えるように支援するために開発されたソフトウエアのこと。電子メール・電子掲示板・スケジュール管理・文書管理・ワークフロー機能などを主要機能として持ち、インターネットを通じ社外からもアクセスできるようになっている。

■JQA(Japan Quality Award、日本経営品質賞)
生産性主導の経営構造から消費者(社会・顧客)指導の経営構造へと経営の質(経営品質)を向上させるための方法として、1995年に日本経営品質賞委員会により創設された。米国の「マルコム・ボルドリッジ賞(MB賞)」を徹底研究し、日本産業界の共通課題の解決をするために創り上げられた。MB賞の基準は現在世界30カ国以上で同様の制度が展開されており、まさに経営のディファクトスタンダードといっても過言ではない。

■KPI(Key Performance Indicator、主要業績評価指標)
業績評価指標。企業ミッションや戦略目標を実現させるための戦略や戦術に対して、感度分析を行い、感度の高い戦略や戦術に対する業績評価指標を特にKPIと呼ぶ。KPIに対して目標を設定し、その実績値をモニターして、目標未達成の場合には改善措置を講じることにより、企業ミッションや戦略目標を達成することができる。

■ナレッジマネジメント/KM(Knowledge Management)
各社員の持つ知識や経験を共有化し活用することで全社員の知識レベルの向上と業務プロセスの最適化を図り、収益の向上に結びつけていく手法のこと。専門家や経験者の持つ知識やノウハウを活かした知識ベースの構築により教育期間の短縮やサービス品質の向上を目指すために用いられる。組織の創造性を支えるナレッジ(データ情報、知識、知恵)を質量共に向上・拡大させる施策を通じて、組織の実行可能性と価値提供能力を高めることを目的とした仕組みを形成し、継続的にその仕組みそのものを発展させていくこと。組織活動を効果的・効率的に行うためのさまざまな要素が含まれてくる。

■MRP(Material Requirements Planning)
資材所要量計画。部品表(BOM/Bill of Material)の構築を中心として、資材(部品や原材料)の所要量計算や、その発注・購買・在庫管理を中心として1960年代に提唱された手法。

■MRPU(Manufacturing Resource Planning)
製造資源計画。MRPをベースに要員、設備、資金といった製造関連のリソース全てに着目した機能を1980年代に追加。製造、マーケティング、財務および設計といった製造企業における全ての機能の活動を計画・管理しようとする概念に至った。現在のERPパッケージの多くは、このMRPUの概念が基本となっている。

■モジュール(Module)
機能の固まり、プログラムの固まりをいう。業務パッケージでは、経理機能の集まりを大きくは会計モジュールといい、その下に固定資産管理モジュールや一般会計モジュールなどが構成されている。

■OAG(Open Application Group)
米国において1995年に設立された主要なERPベンダーによる非営利のコンソーシアム。ERPパッケージ間の相互インターフェイスの開発を目指した活動を展開している。
<http://www.openapplications.org/>

■オブジェクト指向技術(Object Oriented Technology)
人間がより分かりやすくするために開発されてきたデータの処理を「もの(オブジェクト)」同士の関係として捉えることを指す。コンピュータ処理を手続きではなく目的から整理し分割し定義することにより、実施したいことをより簡易にするための技術。

■オープンシステム(Open System)
汎用大型コンピュータ時代には、ハードウエアごとに独自のオペレーティングシステム(OS/基本ソフトウエア)となっておりハードウエア間の互換性が無く、ハードウエアの変更には業務システムの再構築が必須となっていた。現在では、UNIXやWindows/NTなどに共通なソフトウエアを採用することが出来る。つまり、オープンな環境となっている。

■ROA(Return on Asset、総資産利益率)
対資産利益効率。営業利益を在庫資産で割り算出。販売の動きに対して生産活動を細かく同期させることにより、ROAを上げるためにSCMやERPが注目される。
ROA(総資産利益率)=利益÷総資産=売上高利益率×総資産回転率

■ROI(Return on Investment、投下資本利益率)
対投資利益効率。投資額に対してどれだけの利益が出るのかをはかるための指標。情報処理投資においても米国では明確なROIを数値目標として持ち、実施後も評価しているケースが多い。
ROI(投下資本利益率)=(経常利益+支払利息)÷(借入金+社債発行額+株主資本)

■ROE(Return on Equity、株主資本利益率)
株主資本に対して、どのくらい利益が獲得されたかを示す経営指標。ROEが財務諸表データから容易に導出できるのに対し、EVAは将来のキャッシュフローを反映する分、資本コストの見積などに判断要素が介入する余地がある。
ROE(株主資本利益率)= 税引後利益÷株主資本

■シックスシグマ(6σ)
σは分布のばらつきをあらわす統計用語。品質・経営管理上のミス発生目標数値を3.4回/100万回という極めて少ない回数に設定して、改善を図っていく経営改革手法。TQC(全社的品質管理)を基礎にして、モトローラ社が欧米型のトップダウンにアレンジしたものである。「MAIC」(Measurement-Analysis-Improvement-Control)の手続きとシックスシグマの責任者や専任者の使命遂行等を徹底することにより、現状を打破した改善を推し進めることができる。GEで大きな改善効果金額を生み出したことから日本でも注目されるようになり、既にソニー等が導入を行っている。

■SCM/SCP(Supply Chain Management / Planning)
材料から製品までの流れ全体(サプライ・チェーン)を通じた無駄の排除とコストの低減を目的とし、製造時点から販売時点までの情報を管理することにより、顧客満足度や競争力、収益性を向上させようとする考え方。自社をいくら良くしても、仕入業者や販売業者の協力なしには最終顧客の満足度は上がらない。

■SFA(Sales Force Automation)
営業戦力の強化策として最近注目されている分野。顧客情報、顧客動向、販売活動記録、商品情報などをタイムリーに最前線に供給する、と同時に顧客とのリレーション・アクティビティや関連情報を営業マンや管理者へ提供。インターネットやモバイル環境の充実とともに導入が進みつつある。

■テンプレート化(Template)/プリセット型(Preset)
ERPパッケージなどの業務パッケージを業種別や業態別に事前に必要となる機能要件を設定しておくことにより出来るだけ容易に導入・使用開始できるようにしたもの。中小企業への安価かつ迅速な導入のためにテンプレート化やプリセット化が進んできている。

■TCO(Total Cost of Ownership)
単にある時点でかかるコストに着目するのではなく、関連したコスト全体での管理やコスト比較をしなければならない。企業のリソース全体(人、モノ、カネ、時間…)からのコスト管理の概念。

■ベンダー(Vendor)
パッケージ・ベンダーとかハード・ベンダーとかいわれるように、何かを売っている企業のことをいう。システム・インテグレータ(SI)のことをソリューション・ベンダーと呼ぶこともある。

■ワークフロー(Work Flow)
業務の流れをコンピュータで管理して情報の滞留や時間的なロスを防ぐために使われる。例えば、企業の交通費精算や稟議書など、あるルールに従い人から人へ処理される流れを登録しておくことにより効率的な流れを実現する。グループウエアの重要機能のひとつ。




     
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