F+S Flash
(Vol.137)号外

 

============================= CONTENTS =============================
【コラム/『野菜、原乳、水道、海水の放射能汚染の問題』】  <寄稿>
  各種情報に対する疑問に少しでも答えるために      公江 義隆
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この度の東日本大震災により、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り
申し上げますと共に、被災された皆様、並びにご家族の方々に対しまして
心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧と復興をお祈り申し上げます。

ガソリンを初めとした物資枯渇問題がようやく回復の兆しが見えはじめ
たところへ新たな問題が・・・。水はもとよりトイレットペーパーも
スーパーには全く見当たりません。計画停電で、営業や操業もままならない
飲食業や中小工場が増えてます。

テレビでは一日中「福島原発」のニュースが流れています。
一進一退と言いたいが一歩進むと見せかけて三歩後退しているようにしか
見えません。その上、こんな状況下での都知事選挙、何という危機感のなさ!?!

公江さんから第2弾として文書を送っていただきました。
気になる食物系の問題ですので参考までにお送りします。

間違いのご指摘はもとより、有益な追加情報等があれば御連絡いただければと
考えます。宜しくお願い申し上げます。

■=== 【コラム/『野菜、原乳、水道、海水の放射能汚染の問題』】 <寄稿>

                公江 義隆 y-koe@air.linkclub.or.jp
              JUAS/ISC、もとITコーディネータ、
                もと武田薬品工業(株)情報システム部長)

「どういうことかを知った上で、危険性も安全性も常識的に自ら考えよう」

  (急いで纏めています。問題点、間違い、お気づきの点など、
              見つかればご教示いただければ幸いです)

★本当のことを言って欲しい

今度は野菜、水道、海水の汚染が発表された。
テーマが変わって、「(安全を確保する為に決められている)規定値は超えて
いるが、(それにもかかわらず)“全く”心配ない」という人が専門家と呼ば
れて、またまたTVに登場する。「国民に不安を与えてはならない、
混乱を誘ってはならない」と誰かに釘を刺されているのであろうが、
自分の云っていることの矛盾が分らないのであろうか。
人は矛盾に気づけば「うそを言っている。ごまかしている」と思う。
規定値の内容や設定の背景を丁寧に説明するやり方もあったと思うが、
マスコミが専門家と呼んだ人には、これを出来る人がいなかった。

こんな説明をするから、余計に国民は不安になり、混乱を招いている。
せめて“全くない”の変わりに“この程度なら、まだ大きな心配をするほど
ではない”とでも言ってくれたほうが、まだ心配は少なくてすむ。
本当に危険が迫った状況になれば、その時には正しいことを知らせて貰えると
多少は思えるからだ。こんな人たちが思っているより日本の国民は遙かに賢い。

政府がこれまで言ってきたことはほぼ正しいと私は思う。
「直ちに、大きな健康被害には繋がらない」は、「数週間内に生命に関わる
ようなことにはならない」と云う事を、役人風に言っただけだからだ。
しかし、内容は正しいが答えとして完全ではない。「云わないといけないことを
言っていない、伝えなければならないことに触れていない」からだ。

国民はそれを意識・無意識に感じとり、裏読みして「俄かには、大きな・・はない」
と云われれば「長期的には何らかの影響があるかもしれない」と、
政府が言わないことを想像で補い、「本当はどうなのだ? 何故云わないのだ?」
と更に不安を募らせ「隠しているのでは?」と疑念を深める。
ここでも政府が思っているより国民は賢く、その感覚は鋭い。

しかし、安全性の問題の答えは難しい。実態は「影響はあるかも知れないし、
ほとんど無いかもしれない」、そんなにはよくわかっていない問題なのだと思う。
学問的にも色々の説があるのだろうと私は思う。
短時日に重い症状が現れるような多量の被曝を除けば、ある点を境に安全、
危険を明確に区別できるようなものではない。過去からある色々のデータを
分析して、この程度にして置けば相当の安全余裕があるはずだから、
余程のことでもない限り大丈夫だろうという線を、規則や法律上の取り扱い
として、便宜的に規定値として表現したに過ぎない。

乳幼児の規定値といっても、生まれたては影響を受けやすく、成長に伴い
徐々に影響度は減少してゆくということであって、12ヶ月を境に安全度が
不連続に変わるわけではない。規定値を僅かでも超えたから危険、
この値以下だったら全く安心というものでもない。但し、変なものの摂取は
少ないに越したことはない。

政治家の言語力が問われる。

世に中は不確実だ。政治に与えられている様々な権力・権限を、
この不確実性を克服して実行することに使って欲しいと思う(*1)。

役人は事実を隠さず、ありのままに情報を出して欲しいと思う。
専門家は利害関係やしがらみにとらわれず、客観的な説明をして欲しいと思う。
分らないこと・知らないことは正直に「分らない・知らない」と言って欲しい
と思う。報道において、メディアは権力やスポンサーの利害から独立性を
維持して、内容に責任を持って欲しいと思う。

日本国民は、彼らが思うより、遙に賢明で冷静だと思う。
権威で結論を押し付けようとしても、もはや国民はそれを信じない。

 *1:情報を収集し精査してなどと云っていては、タイミングを失う場合が
    多い。事態は刻々変わる。不完全な情報の下で決めなければならない
    のが意思決定だ。不完全さを補うのは洞察力と想像力、決定には胆力、
    実行には覚悟が要る。これらを支えるのは志、使命感、責任感だ。

前置きが大変長くなったが、こんなことを背景にしながら、
発生してきた食品、水、海水の放射線汚染の問題を考えてみた。

★ベクレルとシーベルト

食品や水道の放射線汚染が起こってきて、今度は“ベクレル”という
耳慣れないことばが出てきた。粗っぽく云えば、要はこんなことである。

電燈の明かりを例にとって考えてみよう。
60ワットの電球はそれなりの明るさで輝いている。
100ワット電球は60ワットより明るく輝いている。
これは電球そのものが持っている明るさ(能力)だ。
100ワットは60ワットより多くの量の光を出しているから、より明るく見える。

一方同じ60ワットの電球でも、近くで照らされている人は(多くの光を受け)
明るく見え、遠くの人は(僅かな光しか受けていない)暗くみえる。
電球と人の間に遮蔽物があれば(光を受けないので)暗くて見えなくなる。
同じ光源であっても、距離や遮蔽物といった環境要因で、受けている光は
大いに変わってくる。1点から出た光は拡散して距離が遠くなるほど
広い面積を照らす。面積が広がった分だけ明るさは減っている。
つまり、明るさは距離の2乗に反比例する。

光の世界では、光源の持つ明るさの単位は「ルーメン」、照射された面での
明るさの単位は「ルックス」で表す。LEDランプのパンフレットに光束数
(ルーメン)という記述があった。電球の性能は「ルーメン」、
読書に適した机の上の明かるさは「ルックス」であらわす。

話が長くなったが、放射線の問題に戻る。

上で述べた電球の問題と対比すると、「ベクレル」は「ルーメン」、
「シーベルト」は「ルックス」に対応する。

光源の電球がどれくらいの量の光を出しているかと同じように
放射線源のほうれん草がどのぐらいの量の放射線を出しているかを
表した単位が「ベクレル」だ。例えば1Kgのほうれん草が出している
放射線量を「・・ベクレル/Kg」、1リットルの水が出している量を
「・・ベクレル/リットル」または「・・ベクレル/Kg」というように云う。

★何故、ベクレルか?

それでは、食品の放射線汚染に対して、何故「ベクレル」を使うのだろうか。

くどくなるが、「シーベルト」のおさらいから入る。
前回に延べた放射線被曝は、人が外から受ける放射線による影響という観点
からであった。「シーベルト」は、ある場所、ある時点の放射線の強さ、
つまり、そこにいる人が受ける放射線の量である。
放射線量が10マイクロ・シーベルト/時間という環境に10時間いれば、
総量100マイクロ・シーベルトの放射線を受けたことになる。

受けた放射線の強さや量によって、人に発生する放射線障害の程度が
左右されるから、「シーベルト」で表す数値で、環境や人への影響を評価してきた。

さて、今回の食物、水など、放射線物質を体内にとりいれてしまう内部被曝と
呼ぶケースではどうであろうか。口にした野菜に付着する、
あるいは飲料水に入っている放射性物質は、全量を体内にとりこむことになる。
少し乱暴ないい方をすれば、これら放射性物質が出す放射線は全て身体が
直接受けることになる。変な例えだが、電球を飲み込めば電球から出る光は
すべて身体の細胞に当たる。
それなら、放射線を出す側の強さで捉える方が簡単で分りやすい。
そんなわけで飲食物については「ベクレル」で扱うことになっている。

各人の被曝量は外からの被曝、内部被曝の総量で考えなければならない。
私には十分理解できていないが、幾つかの前提条件を置けば内部被曝時の、
ベクレルからシーベルトへの変換も出来る。
(WHOの資料などには、各放射性物質についての換算係数がある)

★何故、許容値・規定値は曖昧か???

短時間に極めて大量の放射線を浴びた場合には、放射線のエネルギーで
細胞が直接破壊され、短時間数時間〜数週の間に顕著な症状がでる。
以前の東海村で起こった臨界事故の被爆者や、今回、3月24日に電源復旧工事を
していて被曝し、専門の病院に搬送された作業員などの気の毒なケースが
それに当たる。官房長官の言葉を借りれば「直ちに、大きな健康障害が発生
した」という場合である。

大量被曝の場合の閾値(これを超えると短期に明らかに厳しい症状・・・
急性症状がでる境界値)は割合に明確なものがあるようだ。
核兵器の開発過程や過去に数多く行われた核実験での事故、広島・長崎のデータ、
チェルノブイリなどの大きな核事故など、かなりの客観データと、
それに基づく分析が可能であったと思われる。

一方、浴びた放射線の強さがそれほどではない場合でも、
細胞中の遺伝子(DNA)が損傷を受け、その結果細胞の増殖や再生が正常に
行われなくなり、時間が経ってから、色々な障害が出てくる、
多くの人が心配しているケースである。
ここでも放射線量が大きいほど、またこれを受けている時間が長いほど、
遺伝子の受ける損傷は大きくなる。

一方、人の身体の方にも遺伝子や細胞を修復する機能がある。

ポイントは損傷を受ける量・速度と、修復量・速度のバランスだろう。
前者が大きければ障害を発症し、更に悪化する。
後者が勝てば、障害は抑えられ、発生した障害も治癒に向かう。
しかし、このバランスは、被曝の条件によって異なるであろうし、
個人差も相当あるはずだ。1マイクロ・シーベルト/時(年間積算値 
約100ミリシーベルト)の環境に“長期間”いると僅かにガンの発生が
増えるというデータがあるが、「正確にはまだよくわかっていない」
というのが実態のようだ。
許容値や規定値の意味が曖昧な背景にはこんな事があるように思う。

放射線被曝に対する、一般人は年間に1ミリ・シーベルト、放射線を使う
職業に携わる人は年間に最大50ミリ・シーベルトで且つ5年間の
平均20ミリ・シーベルト以下である。
(この条件は多くの報道などで触れられないが、毎年50ミリ・シーベルト
以下なら許容されるわけではない)
日本のこの規定値(許容値)は、多くの諸外国と同様に、
国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に従っている。
他国に比べて高くも低くもない。

放射線を扱う職業の人に、一般人より遙に高い50(20)倍もの規定値
(許容値)を認めているのは、放射線に関する十分な知識を持ち、
且つ就業中は放射線を測る計測器を身につけ、大変厳しく管理が出来る
環境におくという前提によるものであって、職業上必要などという便宜的な
理由によるものではない。
知識も意識も持ち得ない一般の人は、無意識のうちにどこでどれほど放射線を
受けていようと、それを知るすべを持たない。それだけにより安全余裕を
持って規定値を設定して必要があるのだ。

先日ICRPが、今回の原発事故を受けて、住民がその地域を離れなければ
ならない不利益を避けるため、一般人に「一時的に年間20ミリシーベルト
まで認めてもいい」(*2)という提案をしてきた。
しかし、これを採用するなら、放射線取り扱い業務従事者に準じた被曝管理を
すべきだろう。

 *2:趣旨、真意は分らぬが、一般にある西欧の考え方という観点に
    立てば、「被曝によるリスクと、居住地に留まる便益のバランス
    を、日本の責任で判断して決めなさい」といっていることである
    (ICRPが安全のお墨付きを出したとは考えない方がよい)。

 少し詳しく知りたい方は下記URLを参照されたい。
 <放射線被曝に関するICRP勧告>
 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-04-01-08
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/sonota/__icsFiles/afieldfile/
2010/02/16/1290219_001.pdf

★さて、本題の飲食物の問題に入る

現在の飲食物の放射線汚染に対する基準は、
原子力安全委員会の災害緊急時における指針(*3)
(下記URL 資料のP23-24、P108参照)の値を暫定基準として用いている。
これは平常時の基準数値ではないことに留意しておかなければならない。

この原子力安全委員会の指針は、国際機関であるICRPやWHO、IAEAなどの
ガイドラインや勧告などにある、緊急事態時に認められる(*4)数値を
ベースに作られたものであり、一般人の通常時の被曝量の年間許容値を
通常の1ミリ・シーベルトに対し、ここでは緊急事態として、
その5倍に当たる5ミリ・シーベルト/年をベースにして算出されている
(この5ミリ・シーベルトの数値には裁量の余地はある)。

なお、ヨウ素に関する規準値は、チェルノブイリ事故のデータをベースに、
1年間とり続けた場合の甲状腺ガンの発症という観点から設定された値と
いわれ、甲状線線量50ミリ・シーベル/年を基準に設定されている
(甲状線線量の意味については、私は未だ十分な把握にいたっていない)。

 *3:現在の日本の暫定基準になっている原子力安全委員会の指針(p-38参照)
    http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/history/59-15.pdf

 *4:ICRP、WHO、IAEAなどの国際機関には、
    緊急事態の際には「リスクと必要性のバランスから短期間(通常1年)
    に限って、基準を緩めた運営を認める」とするガイドラインがある
    (上記の、原子力安全委員会が採った5ミリ・シーべルト/年は、
     もう少し広げる余地も認められてはいる)。
    これは、例えば「放射能汚染された水を飲まないことによる脱水症や
    その合併症のリスクと、後年発症するかも知れないガンのリスクの
    どちらを選択するか」を、その時の状況から自分(各国)の責任で
    判断して決めなさいといっているわけで、「ここまで安全ですよ」
    といっているわけではない。ほうれん草を食べてガンになるも、
    食べないで飢え死にするも貴方次第といっているだけのことだ。

★日本の規制は厳しいわけではない

なお、一部にこの分野の「日本の規制は厳しい」という人が急に出てきたが、
日本の規制は、上に述べてきた国際機関のガイドラインや勧告に従ったもの
である。日本が突出するはずがない問題だ。

例えば、水道に関するWHOのガイドラインでは、
一般人の年間許容量1ミリ・シーベルト/年の、その10%を飲料からの
被曝量に充てるとして許容値を決めている(*5)

その結果は、放射性ヨウ素131の規定値は10ベクレル/リットル、
セシューム137も同じく10ベクレル/リットルであり、
イギリスはじめ多くの国の平常時の規定値になっている。
日本の現在の暫定値、大人300ベクレル/Kg、子供100ベクレル/Kgは、
曖昧にされているが、あくまで非常時のためのもののはずである。

 *5:WHOの飲料水の水質のガイドライン
   (第9章に「放射線学的観点」の記述がある) 
    http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf

★何故、今???

政府は急に食物安全性委員会を開き、飲食物に対する放射線汚染の規制緩和を
検討すると言い出した。

現在あるのは暫定基準であるが国でオーソライズされた基準だ。
水道や野菜などでこの基準をオーバーするものが続出した。
法治国家の国の基準である以上、この基準を満たさないものは、出荷停止、
廃棄処分などをしなければならない。関係業者からは「風評被害だ」と
突き上げが来る。胆力が試される場であったが、すぐに白旗を揚げた。

「安全だ」といっても国民は信用しないから、今度は「基準」に手をつける
ことにしたようだ。「分子が増えないならば、分母を減らして、%で表した
成績を稼ごう」と組織ぐるみで不正を働いた役所があったが、また同じ役所が
同じ手を使うこ とになる。
基準を2倍くらいに引き上げる方針らしい。
そうすれば、現在の農業関係者からの突き上げも、損害補償の負担も和らぐ。

本来なら、何とか検査の頻度や対象を増やして汚染されているものや地域と、
そうでないものを峻別してゆくべきで問題だが、人手やコストが追いつかない
のだろうか。同じ場所でほうれん草はダメで、キャベツならOKと云う事は
常識的には考えにくい。検査をしなかっただけかもしれない。
雨の影響ならハウス栽培の汚染は低いはずだが、空気中の放射線物質によるもの
ならハウス栽培も換気しているから余り変わらないだろう。

規制の見直しの現実問題としての必要性も分らぬではない。
しかし「基準」にしてしまえば、毎日、幾ら飲んでも食べても認めるという
ことになるのだ。
やるなら、内容を丁寧に国民に説明した上で進めて欲しい。
余程旨く説明しないと「犯罪が増えて取り締まる警察官が足りないから、
窃盗は犯罪でないことにする」といった印象を与えるようなことになる。
ごまかさないで、国民に「リスクはこの程度だから、これを負担して欲しい」
というべきだと思う。
「・・・国際基準なみに緩和へ」などと書いた大新聞があった。
テレビの出演者が「日本の基準は厳しい」と急に言い出した。
危ない、あぶない!

★この先は?

事故を起した原発の収束は、まだ見通しが全くできないというのが現状であろう。
発電所からの放射性物質の放散がとまらない限り、この食品問題の先行きも
不透明だ。監視の強化しかない。

原発には4000本もの燃料棒が水槽に中にあるという。

この中には未使用のものもかなりあるといわれる。
3号炉は以前から何かと問題視されてきたプルサーマル、MOXというプルト
ニューム燃料である。

使用済みの燃料も熱と放射線を出しつづけるので、
最低5年くらいはこの水槽で冷却し続けなければならないらしい。
1、2、3号の原子炉の中にある燃料棒、水槽の中の新品の燃料棒は更に
大きな熱を出すから 、更に長い年数このまま冷やし続けなければならない。
そんな長い期間を要する問題である。

今後、土壌が度の程度まで汚染されるか、どの範囲までなら人が住めるか、
農作物は創れるか、発電所からの放射が止まれば、ただちに土壌の調査が
必要になる。しかし、土壌の放射性物質の農作物への影響に関するデータは
世に中に今ほとんどないようだ。国の基準もない。海水汚染と漁業の関係も
同種の問題がある。大量にセシュームなど半減期の長い放射性物質の流失が
あったなら、こちらは動き回る魚が問題だから、海流や食物連鎖の問題を
含めて大変複雑な問題になるかもしれない。

私は、終戦の翌年に小学校(まだ国民学校といっていたかもしれない)に
入学した。広島、長崎の原子爆弾の恐ろしさは教わってきた。
中学生のとき、アメリカが太平洋のビキニ環礁で行った水素爆弾の実験で、
日本の漁船、第5福竜丸が被曝し、通信長の久保山愛吉(?)さんが
放射線障害で「原水爆による犠牲者は、私で最後にして欲しい」と遺言を
遺して亡くなった。

吹き上った放射性を帯びた白いサンゴ礁のチリを「死の灰」と日本人は恐れ、
マグロは売れなくなった。子供まで「毛が抜け丸坊主にならないか」と恐れ
、一日に何度も自分の髪の毛を引っ張ってみていた。
数10年たち、やがて、「放射能の怖さ」は国民の意識から消えていった。
今、「原子力は、本当に我々がコントロールできるものなのか」を考えてみている。

人口増加、安価な資源、イノベーションを背景に、限りない富と便益の獲得を
求め続ける18世紀来の西欧先進国文明に先が見えてきた。
日本は、人口減、資源枯渇に直面する最先端の国になった。
沈み行く過去の延長世界へ戻るより、新しい流れ、価値観の社会作りに向かう
べきだと思う。

この災害を、過去の思い切りと将来への覚悟をする機会とすれば、
20年後に日本は再び世界の範たるに値する国に生まれ変われると思う。
津波で何もかも無くなった景色をみて、昭和20年、第2次大戦敗戦直後の
焼け野原を思い出した。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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       http://www.TRU-Solutions.jp/F+S_Forum.htm
   参加者のご紹介や【F+S Flash】のバックナンバーは上記URLで
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

編集後記: 一時期「米」もスーパーから姿を消しました。今はたくさん並ん
でいます。今無いものは、水、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、等。
野菜では白菜が少ないですね。ところで、山形の「つや姫」って米を知ってま
すか?昨年から販売を開始したブランド米です。炊きたてはもちろん「冷えて
も美味しい米」です。その中でも限定生産の高畠の有機栽培米は格別美味しい
です。限定なので2kg入りがあと少し在庫があるようです。確保に急げ!!!

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★「東大病院放射線治療チーム」のツイッター
   http://twitter.com/team_nakagawa
★AllAbout:地震・災害対策
   http://allabout.co.jp/special/disaster/
★ITpro:未曾有の大災害に立ち向かう
   http://itpro.nikkeibp.co.jp/daishinsai/index.html
・「東日本大震災」と報道されるケースも多いのですが、正式には
 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」だそうです。
   http://www.jma.go.jp/jma/menu/jishin-portal.html
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